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博報堂プロダクツの各コア事業が追求している専門技術を駆使した新しい取り組み、
最新ソリューションおよびプロフェッショナル人材などを紹介します。

リテールテクノロジーで変わる店頭プロモーション対談 #2 コロナ禍、進化し続けるデジタルサイネージの最新動向

新型コロナウイルスの影響でEC市場が拡大し続ける中、リアル店舗におけるデジタル化が急務となっています。「リアル店舗のDX」に加え「人材不足」「新しい買い物行動への対応」など、様々な課題を抱える流通業ご担当者も多いのではないでしょうか。今回は、リテールテクノロジーで変わる店頭プロモーション対談の第二弾として、企業と顧客の接点をデジタル化して、顧客購買データを有効活用するためのポイントや、新しい買物体験を提供する最新デジタルサイネージソリューションについて、LGディスプレイジャパン株式会社 コマーシャルチーム シニアマネージャーChangmin.Kim氏と博報堂プロダクツ リテールプロモーション事業本部 福島天士氏に伺いました。

 

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目次:

ー コロナ禍に生まれた新たな流通課題

ー 新たな価値を生み出す、行動分析によるパーソナルマーケティング

ー 世界発のタッチテクノロジーを搭載した「スマートシェルフ」とは

ー コロナ禍、需要拡大する透過型ディスプレイ「シースルーサイネージ」とは

 

 

 コロナ禍に生まれた新たな流通課題 

 

— With/Afterコロナにおけるデジタルシフトで、流通に新たに生まれた課題はありますか?

 

福島
流通は、新型コロナウイルスによる大きな影響を受けています。以前よりも短時間で効率的に買い物を済ませたいという意識が浸透する中、安心安全にご利用いただくために、混雑状況のリアルタイム表示や除菌什器設置など、社会のインフラとしての買い場づくりのために力を注いでいらっしゃいます。しかしここ最近では、新たな動きを見せはじめている社会の変化に合わせて、流通のご担当者様からは、

 

「52週のMD計画では、需要の先読みがしづらくなっている。」

「仕出しなどの店運営にかかる作業負荷によって、常に人材が不足している。」

「安心安全を確保した上で、新しい買い物体験を提供したい。」

「店舗の購買データを活用して、客単価アップにつなげたい。」

 

といった、相談が多く寄せられるようになりました。安心安全を確保した上で、どのような新しい買い物体験、商品体験が提供できるかという、守りのデジタル化から攻めのデジタル化への転換期を迎えています。コロナ禍、スピード感をもって実現するためのソリューションの必要性が高まっています。

 

 

 新たな価値を生み出す、行動分析によるパーソナルマーケティング 

 

— 顧客接点のデジタル化を成功させるために、LGディスプレイジャパン株式会社様と博報堂プロダクツがタッグを組んだということですが、協業の目的や経緯を教えてください。

 

キム
当社はテレビ、AV機器、家電、スマートフォンなどの製品へ差別化されたディスプレイ技術を提供しながら革新的な製品開発を日々推し進め、豊かで快適な暮らしに役立つ提案をしてきました。今後は、in-TOUCH、OLEDなど次世代技術を駆使して製品開発するだけでなく、課題解決につながるソリューションとして価値提供していく必要があると考えています。当社の技術開発力に、プロダクツさんの流通知見やコンテンツ開発力との掛け合わせることで、これからの時代にあった新しい価値を生み出し続けていきたいと考えています。

 

福島
店舗のデジタル化と聞くと、とりあえずデジタルサイネージ導入しましょうというような話になりがちですが、単純な情報発信では今の流通課題に応えることはできません。「誰に」「いつ」「どのように」伝えるかという視点で、戦略的に情報を出し分けて、その結果、売上につながったかという効果検証までしてはじめてデジタル化する価値が出てきます。ここ数年、AI、5G、顔認証技術の進歩に加え、デジタルサイネージ自体の技術も進化しているため、店頭で買い物客に対してできることが格段に増えています。当社では、これまでデジタルサイネージ導入に向けたコンサルティングから、モーション・グラフィックス制作部隊を中心にしたコンテンツ制作、ID-POSをはじめとした購買データや店内行動データに基づく効果測定など、パーソナルマーケティング視点でのデジタルサイネージ運用をワンストップで提供してきました。今回、LGディスプレイさんとタッグを組むことにより、先端技術の活用という点を強化し、より新しくて効果的なソリューション提供が可能となりました。

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 世界初のタッチテクノロジーを搭載した「スマートシェルフ」とは 

 

ー 世界初の技術が搭載されたディスプレイとタッチパネルが融合した、高精細デジタルサイネージ「スマートシェルフ」とは、どのような商品なのでしょうか。

 

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キム
「スマートシェルフ」は、韓国の無人店舗で活用するために先端技術を集結させて開発した「in-TOUCHテクノロジー」が搭載されている世界初の商品です。「in-TOUCHテクノロジー」とは、当社独自のテレビ開発で培った「高精細表現力」と、スマートフォン開発で培ったスムーズな操作性を実現する「タッチテクノロジー」と、どこから見ても歪みがない「広視野角テクノロジー」が組み込まれた高性能に加え、薄型軽量化を図ることで価格競争力も追求した屈指の技術です。軽量化に成功したことで、これまでデジタルサイネージを設置することができなかったGMSやドラッグストアの商品棚への設置や、メーカー什器へ組み込むことができるようになりました。さらに、小売業への高いサイネージ導入率を誇る当社ディスプレイは、通常の2倍の耐久性を持つと言われています。営業時間が長い小売業で、長く使うための技術力を備えている点も好評価いただいています。この世界初の技術によって実現したスマートシェルフを、世界最速で日本に導入することができました。

 

ー 活用イメージや、どのようなことが実現できるかについて教えてください。

 

福島
スマートシェルフを活用することで、売りに直結する効果的なプロモーション展開が可能となります。特に強調したいポイントは3つです。

 

特長①:商品に一番近い場所で、売上に直結する双方向コミュニケーション

特長②:店舗の省人化を実現し、デジタルとリアル接客とのシナジー最大化

特長③:購買行動データ連携で、効果的なパーソナルマーケティングを実現

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特長①:商品に一番近い場所で、売上に直結する双方向コミュニケーション

これまでデジタルサイネージは、入り口のあたりやレジ周りなど、商品棚から離れた場所に設置されることも多かったのですが、「スマートシェルフ」を導入することで、商品陳列の制約を受けずに棚スペースを有効活用が可能になります。さらに、商品の一番近くで双方向のコミュニケーションができるので、売上に直結する情報提供が可能となります。

 

特長②:店舗の省人化を実現し、デジタルとリアル接客とのシナジー最大化

売りのノウハウが属人化していたり、仕出しなどの店運営にかかる作業負荷によって、本来の接客ができていないため、常に人材不足というお悩みに対しても、スマートシェルフの双方向性を活かすことで、陳列商品の産地や成分、利用方法などの商品理解を深めていただくことができるようになります。省人化した分、販売員はリアルでしかできない接客に注力するなど、デジタルとリアルの相乗効果も見込めます。

 

特長③:購買行動データ連携で、効果的なパーソナルマーケティングを実現

買い物客の変化のスピードに合わせた、需要の先読みが難しいという課題に対しては、52週MDに加え、時間帯、天気、周辺のイベント、属性などの外部データを組み合わせることで、お客さまに合わせた最適なクーポン提供やクロスセル提案が効果的です。また、タッチログ分析で、棚前に立ったお客様がどんなことを知りたいと思っているか把握した上で、商品タグによる行動分析やID-POSと連携することで、客単価アップにつながる次の一手を打つことができます。

 

 

 コロナ禍、需要拡大する透過型ディスプレイ「シースルーサイネージ」とは 

 

— 従来の透明ディスプレイよりも遥かに高い透明度(約38%)を実現した大型有機EL透過型ディスプレイ「シースルーサイネージ」とは、どのような商品なのでしょうか。

 

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キム
従来のデジタルサイネージとは一線を画し、リアルとデジタルを融合させた空間全体を魅力的に演出することができるサイネージです。これまで透過型ディスプレイとは違ってバックライトを必要とせず、サイネージの向こう側の物体や現実空間をはっきりと見せながら、表示されるコンテンツを鮮やかに映し出すことができる最適な透過率を追求しました。LGディスプレイが世界で唯一独自開発に成功した大型有機EL量産ラインを活用することで実現したソリューションです。ビルやショールームの窓ガラスなどの設備として多くの導入実績があります。シースルーサイネージはタッチセンサーを搭載する事も可能なので、スマートシェルフ同様に、双方向コミュニケーションをすることも可能です。

 

ー 活用イメージや、どのようなことが実現できるかについて教えてください。

 

福島
ハイブランドや宝飾品、自動車など高価格帯・高機能な商品サービスにおける店舗やショールームでの新しい体験価値を創出したいという引き合いを多くいただいています。f:id:hpr_sugiyama:20201020113745j:plain実際の商品をより魅力的に見せる演出に加え、商品紹介コンテンツやレコメンド表示など、新しいブランド体験と深い理解促進を図ることができます。ホテル受付や商業施設インフォメーションで、情報を表示しながらご案内もできるインテリアとしての導入もおすすめです。まるでMixed Reality(複合現実)のような世界観がゴーグルなしで表現できるので、アイディア次第で可能性は無限大に広がっています。

 

キム
コロナ禍、世界中で透明アクリルの仕切りを見かけるようになりました。今後、売り場だけでなく、交通機関、宿泊施設、教育現場、レストラン、ワークスペースなど様々なシーンで活用されることが想定されています。今後、より大きなインパクトを与えるための大型化、身近なシーンで活用しやすい小型化などのサイズ展開とコストダウンを図りながら、新しい発想をもって、これまで以上に広く世の中に拡販していきたいと考えています。

 

福島
感染防止のための無味乾燥なアクリル板やシールド導入も、先端テクノロジーによる新しい視点を加えることで、これまでなかった体験価値を提供することができるようになります。コロナ禍でも、私たちの暮らしを楽しく豊かにするためのお手伝いをLGディスプレイさんと共に実現できたらと考えています。

 

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(写真左)LGディスプレイジャパン株式会社 コマーシャルチーム シニアマネージャーChangmin.Kim氏

(写真右)博報堂プロダクツ リテールプロモーション事業本部 福島天士氏

※本取材は2020年9月25日に行いました。取材時はマスク着用し、写真撮影は短時間、適切な距離を確保した上で行いました。

 

 

今回ご紹介した「スマートシェルフ」「シースルーサイネージ」をはじめとした最先端デジタルサイネージ導入は、コロナ禍の起死回生のみならず、新しい体験価値を提供し、売りにつなげる次の一手を打つための鍵となります。売り場の特性や課題に応じて、生活者の変化と流通事情に精通したパーソナルマーケティングの専門家が最適解をスピーディーにご提案します。お気軽にご相談ください。

 

 

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