地域活性化とエンタメコンテンツ STU48サポート業務について

2014年、地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とした政策として登場した「地方創生」。これを機に、全国各地でさまざまな取り組みが行われています。
今回は博報堂プロダクツがサポート業務を受注した、瀬戸内エリアの活性化にエンターテインメントコンテンツを掛け合わせた、STU48関連のPR・制作サポートの事例をご紹介いたします。

広域エリアPRの取り組み

 

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-瀬戸内という広域でのSTU48のPR活動のサポートについてご紹介ください。

三浦:地域のPRの取り組みについてお話するに当たり、まずは「せとうちDMO」についてご紹介させてください。
DMOとは、Destination Marketing/Management Organizationの略で、観光地(Destination)を活性化させて地域全体を一体的にマネジメントしていく組織です。

せとうちDMOは、瀬戸内を囲む7県(兵庫県・岡山県・広島県・山口県・徳島県・香川県・愛媛県)が合同した広域連携DMOで、瀬戸内が有する幅広い観光資源を活用しながら観光地域づくりを推進しています。
瀬戸内の各港を廻る船上劇場で公演を行う「STU48」は、せとうちDMOのサポートを受けて発足し、オリジナルメンバーを構成する際に「AKB48」のメンバーが各県知事に表敬訪問するなどのPR活動を行いました。

大島:表敬訪問には私も同行しました。一日で3~4県を回るのですが、各知事と訪問スケジュールを合わせたりといった作業をせとうちDMOにやっていただき、その連携のもとにメディアに連絡をして取材に来ていただいたり、プロジェクトのPR活動を行いました。当時はグループ側にマネージャーもいなかったので、メンバーへの個別対応なども並行して私が行っていました。なかなかハードなスケジュールの毎日でしたね。

 

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大島 潔子:PR担当

-STU48と地元クライアントとの取り組みについてお聞きします。

三浦:地方創生の目的である瀬戸内での観光や食事、宿泊といった消費活動の促進の一貫で、STU48とコラボをしたお土産などは、大変好評を博しました。

大島:中国四国博報堂のクライアントである広島県や山口県の既存の銘菓のパッケージをSTU48仕様にカスタムしたもので、印象深いのが、スイーツパン専門店のくりーむパンとのコラボさせていただいた時です。STU48のセカンドシングルのリリースと本コラボの時期が被り、さらに世間がバレンタインで一色だったこともあり、新聞社などのメディアをキャラバンした際に、コラボ商品に高い関心が寄せられました。ファンの方にもご案内することで、さらなる相乗効果を生むことにもつながりました。東京にある専門店のカフェでもPRを行いましたが、これら事前の宣伝効果もあり、ファンの人がずらりと並び、あっという間に完売してしまいました。
お菓子ではないですが、広島本社の建材メーカーとのコラボでは、実際に船の内装建材を提供していただいていたり、岡山でブルーシートを作っている企業さんとのコラボでは、地元出身メンバーが企業CMに出演しており、震災などでブルーシートが必要になった時にファンの方がそのことを覚えてくださっていて、しっかりと瀬戸内のことをPRできていたんだなと実感しました。改めてこうしたエンターテインメントコンテンツのパワーをまざまざと実感した瞬間でした。

三浦:他にも、広島に本社を持つ企業さんが主宰している「地域応援プロジェクト」に協力させていただき、中国エリアのお祭りや学校などの催し物にSTU 48が参加する地域貢献活動も継続的にサポートしています。

大島:STU48がテレビ番組などに出る際の衣装についても、倉敷がデニムの発祥の地なので、その素材を使った衣装着てもらうことによってアピールができました。企業の内定式に呼んでいただいたこともありました。

三浦:観光誘致も含めて、地域の企業とその地域ならではのオリジナルコンテンツが上手く噛み合った結果、マーケティングやリクルーティングとしての効果がしっかりと実績として残されています。

 

日本初の船上劇場STU48号」の制作について

 

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-船上劇場「STU48号」制作について教えて下さい。

三浦:こちらも「せとうちDMO」のサポートによって計画されたものです。元々沖縄の離島航路船だったものを劇場用にリノベーションするのが基本計画です。船の上屋を外して、そこに劇場を乗せるということは、重心や高さが変わってしまうという難題があり、いろいろな専門分野のプロが集結して知恵を出し合わなければ解決できない等、当初の段階では困難を極めました。
また改造工事は未だかつてないほどのスケールで、どこの造船会社さんにでも出来るものではないため、もともとの船の設計会社に掛け合って、構造設計を請け負ってもらいました。実際に作業が始まると、元々の船を改造するということなので、既存の配線を活かしながら劇場を作り上げるのは難しく、設計図面通りには上手く行かず、作業が難航しました。イチから船を作り上げるとなると、コストも施工期間もとてつもなく高く、長いものになってしまうため、どうしても改造が必要でした。
船上劇場にするために、船の上に劇場を乗せるといった外側の作業だけでなく、空間デザインや音響や照明なども必要なために、STU48の劇場スタッフとともに、演出を含めてどのようにしたら良いか綿密に打ち合わせを重ねました。またファンの人たちに楽しんでもらうための体験設計も綿密に行っています。
また、造船工程においては国土交通省から技術的な支援をいただきました。実際に船が出来上がった後も、例えば「船を瀬戸内でどこに泊めるか?」ということも、港湾のリサーチや候補出しから手続きに至るまで、港湾管理者である自治体とつながりを持ったせとうちDMOが担当されることにより、スムーズに事が運びました。これはDMOというネットワークがあったからこそだと思います。

 

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三浦 文雄:イベント担当

コンテンツを活用した地方創生のポイント

-STU48」のコンテンツと地域の資産の組み合わせのポイントは?

三浦:STU48の公演には、県外からもたくさんのお客さんが来場されます。公演会場までの移動チケットと宿泊施設の旅行商品のパッケージチケットの開発などにより、多くの人が瀬戸内に訪れる、という地方創生につながっていると思います。
ただし今回の成功のポイントは「地域プレイヤー+STU48」ではなく、「地域プレイヤー×STU48」という掛け算であったことだと思います。
エンタメコンテンツを既存の資産に単に上乗せしたのではなく、元々ある地域資産の価値を最大限に高めるために、「STU48ブランド」の色んな要素を必要に応じて適切に絡めていく、というのがポイントだと思います。
地方創生の取り組みは一過性のものではなく、その地域で定着すべく、きちんと継続できる「魅力」と「仕組み」が大切だと思います。それを意識して、今後もサポートをし続けていければいいなと思っています。

 

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