リテールテクノロジーで変わる店頭プロモーション対談 #1

さまざまなものがデジタルシフトしていく中、人手不足に悩むリアル店舗で活用できる「リテールテクノロジー」が大きな注目を集めています。センサー技術、画像認証、AI技術の進化により、これからの「売り場」どのように変わっていくのでしょうか。各分野のエキスパートとの対談を通じて、新しい「売り場」のあり方について掘り下げてきます。

 

f:id:hpr_sugiyama:20200330095618p:plain (写真左から)ピーディーシー株式会社 鎌田翔氏/株式会社博報堂プロダクツ 佐藤博文氏

 

連載の第一回目は、商業施設のデジタルサイネージソリューション事業やコンテンツ配信事業を手掛けるピーディーシー株式会社 鎌田翔氏をお招きし、リテールテクノロジーで流通・小売が今後どのように変わっていくのかについてお話を伺いました。商業施設で圧倒的な導入実績を誇るシステムプラットフォームから紐解くリテールテクノロジー導入における3つの成功ポイントもご紹介します。

 

———まずは「売り場」の変化について、日々の業務される中で実感されている課題について教えてください。

 

佐藤:昨今、モノが売れない時代においては、商品の魅⼒を価格や機能で訴求するだけではなく、その商品が持つストーリを伝えたり、その商品を購⼊することで暮らしがどう変わるのかといった価値を伝えていくことが重要となってきました。そういった商品の価値を店頭で体験してもらうためには、旧来の⼿法だけでは対応できないケースが増えてきています。

 

鎌田:近年、売り場においてデジタルサイネージの導⼊は⼀般化しつつありますが、サイネージに掲出している映像コンテンツと売場商品が合っていなかったり、⻑期間同じコンテンツが掲出され続けてしまったり、効果検証ができないなどのお悩みも多く、売り場での顧客体験という視点で、もっと効果的な運⽤をしたいというご要望をよく伺います。

 

———リテールテクノロジーによって、今後どんな風に「売り場」は変わっていくのでしょうか。

 

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 鎌田:これまで店頭デジタルサイネージでの情報発信は、時間に応じて予め決められた映像を流し続けるという⼀⽅的なものでしたが、そこにテクノロジーが加わることで、その⽇の周辺施設イベントや天気、来店者のモチベーションや属性情報など、様々な情報を組み合わせて、AI に解析させ、動的にコンテンツ配信することが可能となりました。

 

佐藤:GMSやスーパーなどの売り場では、ショッピングカゴを持ったり、手が埋まってしまうため、スマホを手にする人は意外と少ないので、デジタルサイネージで情報発信することは非常に効果的です。SDGsの潮流から資源のムダを省いて効率を上げる手段としても、スーパーやドラックストアからの引き合いが増えています。「モード」「タイミング」「ロケーション」に合わせて、ひとりひとりに最適なコンテンツを出し分ける技術により、商品の魅力を伝えるためのコミュニケーションの幅も広がってきていると感じています。

 

鎌田:⽣活者が受け取るアウトプットは同じでも、そこに到る情報最適化の技術はどんどん進化しています。その日の環境や会員情報などに応じて⾃動的に価格を変えるという実証実験が⽇本でも始まっており、近い将来、これが普及すれば、買い物⾏動全体における「売り場」の役割はさらに⼤きくなっていくはずです。

 

———様々な実証実験を繰り返して「売り場」に関するノウハウが蓄積することで、分析精度が上がっていくものだと思いますが、商業施設で圧倒的な導入実績を誇るシステムプラットフォームの運用を踏まえて、リテールテクノロジーを導入するためのポイントを具体的に教えてください。

 

佐藤:EC市場が拡大する中で、様々なテクノロジーを駆使してリアル店舗ならではの価値を作りたいという流通・小売ご担当者の方も多いと思いますが、リテールテクノロジーは、だた導入すれば良いというものではありません。今回はシステムプラットフォーム導入における3つのポイントをご紹介したいと思います。

 

ポイント① 効率的な運用を実現する「事前検証」

ポイント② 分析精度を高める「導入実績」

ポイント➂ 人を動かす「課題別コンテンツ制作」

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ポイント①:効率的な運用を実現する「事前検証」

 

鎌田:デジタルシフトの流れに乗じてデジタルサイネージ導入を決断したものの、空きスペースに置いてしまったり、設置のしやすさなどで位置を決めてしまう店舗の多く見受けられます。これでは、お客様に「伝える」という本来の目的を達成することができません。本格導入する前に、事前検証することをオススメします。

 

佐藤:テスト導入の段階で、人の導線を事前調査した仮説から作られたカスタマージャーニーを元に、効果のあるサイネージサイズや位置を検証し、PDCAをまわすことで、導入効果を最大化することができます。効率が悪いまま運用し続けたり、一度設置したものを設置し直すことを考えれば、事前検証のひと手間をかけることで、圧倒的に効率的な運用が実現するのです。

 

ポイント②:分析精度を高める「導入実績」

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佐藤: GMSやスーパーでのデジタルサイネージ導入率は上がってきていますが、いまだに予め決まった映像を流しているお店も多く、システムプラットフォームの導入実績を持つ企業は少ないので、PDCさんのように商業施設や別業態での導入成功した知見を新たなヒントにしてみるのが有効です。

 

鎌田: 弊社がサービスを⽴ち上げてから約20 年間で、全国約20,000 台のクラウド型サイネージシステムを導入・運⽤してきました。どういう場所にどのようなサイネージを設置すれば効果的かという知⾒を元に、ハードウエアとシステム、コンテンツを統合するSI(システムインテグレート)の⼒を⾼く評価していただいております。この導⼊実績は他業種にも展開可能であると考えています。

 

ポイント➂:人を動かす「課題別コンテンツ制作」

 

佐藤:最後に忘れてはいけないのが「どんなコンテンツを作れば伝わるのか」という売り場のコミュニケーションに関するノウハウです。いくらテクノロジーが進化しても、コンテンツに力がなければ、人を動かすことはできません。コンテンツは課題に応じて、大きく3つの型に分類し、最適なクリエイティブチームをスタッフィングすることが重要です。

 

A:ブランディング型(「意識変容」を目的にした映像コンテンツ)

B:シズル型(レシピやクロスMD提案などにより「態度変容」を促す映像コンテンツ)

C:チラシ型(価格訴求やオマケなどのオファーで「態度変容」を促す映像コンテンツ)

 

また、同じデジタルサイネージでも、ディスプレーの大きさや見る位置まで精緻に計算した上で、コンテンツ制作することではじめて、流通・小売の売り場において、これまでにない「新しい顧客体験」を生み出すことができるのではないでしょうか。

 

———最後に、今後の展望などあればお聞かせください。

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鎌田:弊社では、「OneGATE」というコンテンツ管理プラットフォームを開発し、ID-POS データ、AD 管理システム、天気気温など様々な外部APIだけでなく、お客様が閲覧したコンテンツ履歴や店内カメラから得られる⾏動分析データを集積し、各デバイスやメディアに対して最適なコンテンツの配信制御を行い、また店員への情報通達による省⼒化や、店内空間の制御などまでを担うプラットフォームとして確⽴することで、デジタルとリアルが融合した買い物⾏動全体を最適化するハブになりたいと考えています。

 

佐藤:リテールテクノロジーにより、ショッパーの購買行動プロセスが可視化され、分析できるようになったことで、長年の勘や経験に頼る属人的なものではなく、数字に裏打ちされた店頭プロモーションが実現されるようになりました。今後この流れが、どんどん加速していく中で、リアル店舗、特にGMSやスーパーにおいて、これまでにない売場づくりをしたい方、スタッフの運用不可軽減したい方などに向けて、昨年末、店頭デジタルマーケティングサービス「売場サイネージソリューション」を提供開始しました。PDCが持つ圧倒的な導入実績を持つコンテンツ・マネジメント・システムをベースに、博報堂グループのマーケティング、プロモーション知見と、多彩なコンテンツが提供できるプロダクツの制作力を組み合わせた新しいソリューションで、効果的な売り場づくりを提案していきたいと思っています。

 

———本日はありがとうございました。リテールテクノロジー導入にご興味がある方、「売場サイネージソリューション」についてもっと詳しく知りたい方は、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

 

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